晴耕雨読ならぬ晴耕雨陶の生活を郡上ではじめたのが1980年。 光陰矢のごとしを地で行くような、今日までであったが、未だその行き着く先さえ見あたらず右往左往のこの頃である。

 作陶について、最近思うこと。 がむしゃらに作り焼く、何も考えないで作り焼成するという行為を、軽くこなすことが出来なくなったのだ。

 何を作るか、どのように作り、焼くのか思いを巡らすこの繰り返しは、まるで詰め将棋のようでもあるが、 詰むことのない繰り返しである。

 作品に込める思いはつのるが、伝わりにくい状況のもどかしさが年々増すのである。

 根っからの焼き物好きが少なく成りつつあると云われる、瀬戸から遠く離れた焼き物に何のゆかりもない郡上八幡に穴窯を造り、ただ焼き物を愛して下さる 焼き物好きに会いたくて。

川上 伸

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